太陽がまぶしかったから

C'etait a cause du soleil.

『孤独のグルメ』デビューは駅ナカの立ち食い蕎麦屋でした

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箱根そばも好き

 蕎麦の純粋な美味さでいえば、いわもとQが追随を許さないと思っているのですが、箱根そばも結構好きです。「箱根そば」は小田急グループの飲食部門である「小田急レストランシステム」が運営する駅そばチェーン店ですので、小田急線沿線には大抵あるという安心感があります。

 ここの蕎麦そのものには特徴らしい特徴があまりないのですが、コロッケ蕎麦がカレー風味だったり、蕎麦つゆが甘めだったりで「そうそう、こういうのが良いんだ」感があります。茹で置きなので、すぐに出てくると思いきや、昼食時や夕食時は結構な頻度で茹で待ちにあたるので、結果として茹でたてが食べられる事が多いです。

 この箱根そばの2013年夏季限定メニューで「豚肉と紅生姜天おろしそば」があって、これが凄く美味しいのです。豚の角切りと紅生姜がたくさん入った大判かき揚げが乗ったおろし冷やし蕎麦がまずいわけありません。これだけ具沢山で幸せな気分になって430円です。最近のラーメンは700円基準でトッピングを含めたら950円なんてことを考えると、随分とお得な感じがします。わさびやネギはマシマシ可能です。

駅蕎麦で『孤独のグルメ』デビュー

 揚げ置かれて酸化しかけたかき揚げの臭いが紅茶に浸したマドレーヌのように作用して、高校生のときに学校最寄りの駅そばで『孤独のグルメ (扶桑社文庫)』デビューをした事を思い出しました。中学校までは家と学校が近かったし、独りでどこかで食べて帰るみたいな理由がありませんでした。また自分の家では昼食や帰れない時の夕食は自分の小遣いから出すというルールでしたし、校則でアルバイト禁止だったので食事を安くあげる事は至上命題でした。

 荒俣宏は昼食を食べない事で古本を買うお金に充てていたと述懐していましたが、自分も「ここで400円のカレーを我慢したら、帰りにあの本を買って帰れる」とヤンデレ目になりながら思って昼食抜きをよくしていました。それでいて微妙に育ちがよかったので、「買い食い」はどうしても出来なかったのです。高校時代は自身に独自の論理が醸成されつつ、それを止める人が少ないので奇行種になりがちです。なりがちですよね!?

 それで昼食抜きで、もう19時を過ぎていてお腹がぐーぐー鳴り出して、なにか食べないとと思いながらも、家に帰ろうと電車に乗ろうとして目に入ったのが駅蕎麦でした。220円で外食できるという衝撃。それ以来、部活帰りなどのタイミングで駅蕎麦をよく利用したような気がします。

かき揚げのコストパフォーマンス

 労働者風のおじさんたちに混じって学ランの高校生が蕎麦をすするというのはハードボイルドだと思い込んでいて、いわゆる「自分では格好良いと思ってやっていた行動」だったわけです。

 ここでトッピングの「かき揚げ」がクセモノでした。どう考えても美味しいのですが、120円だったので、合計340円になってしまうわけです。普通のかけそばの実に1.55倍の値段です。価値工学の観点から言えば満足度がそれ以上ないとコスパが悪いわけですし、120円あればBOOK OFFで漫画1冊と15円のお釣りに変換できます。家で食べるポテトチップスだってもっと安いわけです。なので、このかき揚げトッピングをめぐって「今日は我慢できた」「今日はままよ!」っていう感じでセコい意志力チャレンジをしていました。

 今となっては躊躇なくかき揚げを載せられるようになってしまった自分に乾杯なのか、軽蔑していた大人になってしまったのかはよくわかりません。ただ普段はケチなわりに、割りとままよ!ってやりがちなのは、この時に培われてしまったのかもしれません。

「駅そば」読本

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