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太陽がまぶしかったから

C'etait a cause du soleil.

小玉歩『クビでも年収1億円』〜「年収1億円のうちの9900万円で『レスペクト』を買っているのさ」と言いたくなるけれど・・・

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photo by 401(K) 2013

クビでも年収1億円 (角川フォレスタ)

クビでも年収1億円 (角川フォレスタ)

年収1億円の世界

 『年収1億円のうちの9900万円で「自由な時間」を買っているのさ〜山崎寿人『年収100万円の豊かな節約生活術』 - 太陽がまぶしかったから』では、年収100万円の中で、どのようにセツヤクエストをしていくかという話が展開されていくわけですが、この台詞が衝撃的でした。

実際、僕がこの生活を続けているのは、ここには自由な時間が無尽蔵にあるからだ。言い換えれば、何もしないでよいことを、何より大切にして生きているのだ。 そんなわけで、金のことを心配して下さる方々には、冗談めかしてこう答えることにしている。 「実を言うと、年収は1億あるんだよ。そのうちの9900万円で“自由な時間”を買っているのさ。で、残った100万円で生活をしているというわけ


年収100万円の豊かな節約生活

年収100万円の豊かな節約生活

 これはもちろん、冗談めかした考え方のひとつではあるのですが、なかなか腑に落ちます。本書については本当に1億円をゼロから稼ぐにはどうすれば良いのかという話になります。実に年収100倍計画です。「『大学なんて関係ないさ』と言えるのは東大に合格できてから」みたいなキャッチコピーがありましたが、それはそれでひとつの真実ではあるのだと思いますし、メタ認知の段階で判断するのも違うのでしょう*1

サラリーマンへの恨み節

 著者は大手メーカーの営業マンで、社長賞をもらうような社員だったわけですが、副業がらみのことでモメて退職を迫られます。とはいえ、副業で十分な儲けが出ていたり、サラリーマンとしての自分の報われなさを常々感じていたため、素直を受け入れて専業化していくという流れになります。

 そんな感じなので、サラリーマンへの恨み節というか、こんなにサラリーマンは酷い現状を受け入れているんだよって愚痴が続くところがあります。社長賞をとっても昇給は3千円だったとか、通勤で死にそうだとか、稟議が通るまで時間が掛かって商談をのがしてしまったりだとか。

 サラリーマン生活がいかにクソかを煽るのは退出者の特徴ですが、それは書いてる自分に言い聞かせてる部分もあるのかもしれません。なので出てくる主張はプロブロガーになった人ののそれに近いところがあります。私自身も殆どはクソだとは思ってますけどね。今がダメだからソリューションっていう手法です。

時間とお金は大切な人を守るため

 それでサラリーマンを辞めて時間的自由を手に入れたのが一番よかったという話になります。

 収入が増えたことはありがたいですが、本当によかったのは、自由な時間が増えたことです。おかげで、家族と過ごすことができる時間が格段に増えたのです。


クビでも年収1億円 (角川フォレスタ)

クビでも年収1億円 (角川フォレスタ)

 その一方で実家がラーメン屋が流行らないまま借金を抱えて閉店してしまったり、クレジットカード地獄や株式投資で借金をして会社員と居酒屋バイトの二重生活を強いられた経験などがあいまって、お金への執着が非常に強い側面もあります。

 時間とお金との両輪が大切という事も分かります。時間とお金があれば結果として、「家族をはじめとする大切な人を守ることが出来るようになる」とのことです。これ自体は本当にそうなんですよね。なのでプロブロガーと言いつつ勤め人の奥さんに子育てを任せてるらしいと聞くとモヤモヤしたりします。

やってはいけないこと

 それで1億円を儲けるとは言っても、これから個人で始めてはならないものとしていくつかの話が挙げられます。まぁ、いつもの儲け話ですね。

  • 株式投資
  • 不動産投資
  • FX
  • 実店舗運営

 これらは初期投資のために借金する必要があったり、失敗した時のダメージが非常に大きいものです。ここで儲かっている人の話はたんなる生存バイアスであるような事が多く、それこそ自殺者すら出している状態です。また時間を売るタイプの労働をいくらしても稼げる額が一定以上にはなりませんので除外されます。

ヤフーオークションで商売の基本を知る

 それで出てくるのはやっぱりインターネットを使って云々です。まずはヤフーオークション。身の回りの物を売ったり、情報格差や地域格差を利用して利ざやを付けて売ったり。いわゆる「セドリ」をもっと広い範囲で行う話ですね。現在は情報が知られすぎてしまっているために難しい側面もあるのでしょうが、それでも海外オークション、海外通販で仕入れた商品をヤフオクに出品するといった事をしていれば、ある程度は稼げる状況があるように思います。

 ヤフオクの良い所は、サラリーマン時代ではそこまで意識できなかった、「仕入れて売る」という商売の基本がダイレクトに実感できることだと著者は指摘します。この経験を元にネットショップを開店します。最低限の元手でヤフオク時代に作ったヨーロッパの問屋などのチャネルを使うことで、比較的簡単に儲けることができたのことです。この時点で月商300万、利益額100万円です。

アフィリエイト商売への転向

 そんな感じで小商いの王道を行っていたのですが、このあたりから胡散臭くなってきます。ようするに上記までの経験を元にブログを開設したり、メルマガを発行をして、アフィリエイト商売をし始めます。「仕入れて売る」から「紹介して報酬をもらう」への転換です。

 「仕入れ」がなくなるのでリスクが極小化できるというのがアフィリエイトの特徴です。私自分も小さな規模とはいえブログを開設しているので、それ自体の効用というのは良く理解できます。別に儲けるノウハウを書いたり、胡散臭い商品へ誘導はしていないと思いますが0円が1円になる感覚を知るってのは大きいと感じています。

 そして儲け話系のメルマガはなんだかんだ言って盛況ですし、それらを購読するひとは比較的簡単にお金を払う側面があります。お金儲けしたいっていう浮ついた人に、お金を儲ける話を紹介して、お金を払わせて儲けるという構造ですね。この辺りについては、もの凄くもやもやしますが、はて坊相手に真剣な商売をしても効率が悪いってのもひとつの事実です。

 ノーリスクで大儲けと思われたメルマガ発行ですが、思わぬ落とし穴もあります。それが「クビ」の部分です。つまり、メルマガで取引先の業務内容に触れて、それが担当者の目に触れてしまいます。具体的や業務内容について触れる事はないとはいえ、私自身も少しは気を付けなければいけません。

そして伝説(情報商材)へ

 はい、アウトー。って思いつつ、そっちにいくよなーって感覚はありました。メルマガの高利益化を考えると情報商材やセミナーの紹介になっていきます。だったら自分で作っちゃえって事ですね。もちろんKDPで250円でなんて殊勝な話ではありません。よくある49,800のところを今なら19,800みたいな商材のことだと思われます。

 編集者の校正などが入って体裁が整えられた普通の本が1000円以下で売られている中で、自前で作ったPDFが超高額で売れてしまう構造というのは、色々とアレな仕組みがあるからなのですが、詳しくは書きません。まぁ1億円ってのを考えるとそっちに行ってしまうんだなーって思いました。

インターネット商売のマトリクス

 これらビジネスについては難易度とオリジナリティでマトリクスが作れるとの事です。そしてオークション→ネットショップ→メルマガ→情報商材というように難易度が低いところから高いところへ、紹介ビジネスから自身のオリジナリティのあるビジネスをするごとに利益は高まるとのことです。

 ここで言っていることは凄くまともですし、今後の指針にもなりえます。でも絶対値を大きく稼ぐためにはルールすれすれというかはみ出し気味にならないといけない側面があるんだなーってところが難しいです。ネオヒルズ系の話についてヲチするのは大好きですが、当事者になるのは辞めておきます。

自分の限界を知る

 ただ、それが自身の限界なのだろうと思うとこともあります。ブログだってもっと目立つ所に広告を貼れば誤クリックしやすいなんて事も分かってますし、過剰な集客技法も使ってません。例の件だって黙っておけばと理解しながら無効化しようと動いてしまいました。

 やせ我慢だと言われればそうなのかもしれませんし、程度の問題だろ?っていう指摘も全くその通りです。ただ、その程度の問題こそが重要だと思っているところがあるのです。私が広告を使っているのは承認欲求に報酬を偏らせないためでもあります。そっちの深淵はそっちの深淵で覗きたくもありませんので相補完にすることで絶対値を下げているのです。

 このような事をしていく時には、どの範囲ならできるのか、どの範囲なら人に迷惑をかけないのかというラインについて、擦り合わせる事が必要になっていくのでしょう。

年収1億円のうちの9900万円で「レスペクト」を買っているさ

 だからこそ、そんな自分のスタンスのままKDP出版や有料メルマガ、講演会等を含めたネットビジネスをしたところで年商100万円を超えるのだって難しいでしょう。やる気もありませんが。私がセツヤクエストをしてるのは過剰に稼ぐ事への抵抗が強いからなのかもしれません。

 その意味では、冒頭に紹介した『年収100万円の豊かな節約生活』のように、「年収1億円のうちの9900万円で『レスペクト』を買っているさ」だなんて事を言っているのに過ぎません。それはそれでミジメな台詞である事も分かっています。

 「できるけどやらない」という運動量のなかで「大きく儲ける」ってのはどういう事なのかを考えさせられる一冊でした。

クビでも年収1億円 (角川フォレスタ)

クビでも年収1億円 (角川フォレスタ)

*1:新興宗教にはまる死亡フラグ