太陽がまぶしかったから

C'etait a cause du soleil.

梅田望夫の『ウェブ進化論』って正しかったよね

ウェブ進化論をセツヤクエストの文脈で読む

 趣味プログラミングを再開していて、『「はてな エンジニアブロガー祭り」を12月14日に開催! 豪華ゲストスピーカーが登壇します(ピザとビールもお楽しみに) - Hatena Developer Blog』にも参加してみる予定なのですが、そんな活動をしていると梅田望夫の『ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる 』での記述が想起されてきました。

 そもそもウェブ上のコンテンツが無料になるための諸要素が揃う「チープ革命」が節約のための必須要素になっています。その上で「ネット世界の三大法則」が、まさに自分がやろうとしていることなのではないかと思いました。著者は「インターネット」「チープ革命」「オープンソース」がある閾値を超えた時に以下のような法則が成立すると説いています。

  • 神の視点からの世界理解
  • ネット上に作った人間の分身が金を稼いでくれる新しい経済圏
  • (≒無限大)×(≒ゼロ)=Something あるいは、消えて失われていったはずの価値の集積

神の視点

 ここでいう「神の視点」とはログに対する統計データの事です。流行りの言葉で言えばビッグデータですね。Googleはもとより、私のブログでさえ行動集積の結果は蓄積されていっています。それらは「こういう人は、こういう文脈で、こう動く」という膨大なサンプルデータです。そんな前提においては、主観的に作った「こうだからこう」「こうすべき」といった妄想的なシナリオではなく、A/Bテストなどのアクションによって変化した事実の蓄積によって俯瞰的に最適戦略が決まっていきます。

 その結果として、『ウェブはバカと暇人のもの』のような事になってしまうのは残念なのですが、それが人間の本質なのでしょう。なんて悟った事を言えてしまうが神の視点です。

 そのような調査ができたのは企業のマーケッターなどに限られていたわけですし、それも自己言及的なヒアリングが含まれていたために現実の行動が正確には記述されていなかったのが実際です。なので個人であってもGoogle Analyticsなどに集積された事実を元に判断できるというのは、なかなか凄い時代です。

ネット上に作った人間の分身が金を稼いでくれる新しい経済圏

 夫婦で共働きする事を「ダブルインカム」と言いますが、それぞれがネット上の分身を稼働させてインカムを得るという「クアッドインカム」でポートフォリオを組む事になると著者は指摘します。それができれば1つのインカムではハイリスク・ハイリターンを狙ったり、子育てのために使おうといった事も簡単になります。ネット上に作ったブログやECサイトは現実世界の私が何をしてようが独立して動き続きます。最近は昔の記事が発掘される機会が増えたので特にそれを思います。私が死んでもしばらくは大丈夫かもしれないと思えるほどです。全く不思議な感覚ですが。

 これは「ブログはスタンド」って話に近いです。『ジョジョの奇妙な冒険 8~17巻(第3部)セット』の「スタンド」と言っても色々なタイプがあるのですが、私の場合は偶然的にも独立駆動タイプだったという事なのでしょう。その時に「お金を稼ぐ」といった事だけで考えると残念な部分もあるのですが、私が預かり知らぬところで誰かが困っていた事が勝手に解決されたりするのはなかなか愉快なものです。

 一度書いて公開した文章は検索されたり、ソーシャルメディアで共有されたりして、私の預かり知らぬところで各人に複数的な意味での価値を産むことがあります。これはこれで、Bitcoinにおける「マイニング」に近い事象なのかもしれません。


 『Chromeのアドレスバーから自分のブログ記事を直接検索する - 太陽がまぶしかったから』では、それを「文化的雪かき」と表現していますが、自身の文脈においても幾つかの対価を見出している側面があるのは事実です。そして私がしているのはあくまで初動部分だけで、個別の事についてはコンピュータやそれを読んだ人々に代行してもらっている事が重要です。


 そもそも「マネー術」というのは「(私自身の労働力を消費せずに)お金や不動産を働かせてお金をもらう」ためのものであると基本的には考えています。この視野を広げて「(私自身の労働力を消費せずに)働いてもらえるのは何か?」という視点を考えるのがひとつのやりかたなのかなって思いました。

 これは私がプログラミングに入れこむ理由のひとつです。「誰もやりたがらないけれど、誰かがやらないと、あとでどこかでほかの誰かが困るようなことは、特別な対価や賞賛を期待せず、ひとりで黙ってやっておく」と村上春樹が言う「文化的雪かき」を自動化する「文化的雪かきロボ」を作りたいという欲望があります。黙々と人間以上に良い動きをしてくれるものを作っておけば、僕自身が怠惰であってもなんとかなります。

(≒無限大)×(≒ゼロ)=Something あるいは、消えて失われていったはずの価値の集積

 子供の頃にしてた1億人の人に1円を貰ったら1億円になるという夢物語はGoogle Adsenseなどの広告によって小さい範囲では現実味を帯びてきています。10万人を集めたら1万円ぐらいにはなるでしょう。また労力に関しても1億人が3秒を提供すれば1万人がフルタイム勤務するのと同等です。『DRAGON BALL』でいうところの元気玉のようなものですね。これは先の統計データに関連します。

 私自身はサラミテクニックを信奉しているところがあって、細かい蓄積の持つ力をバカにしたくありません。これは自身の責任範囲の負荷分散にも繋がります。私から高額な健康商品や情報商材などを薦めたりする事はありえません。なぜなら客観的にクソである可能性が高いというのもありますが、自分がよいと思ったものであっても他人に適用できるかは未知数ですし、支出が多くなればそれに見合うリターンのハードルが高くなってしまうからです。

 本などに関して言えば、自分が面白いと思ったものが多く、出版社の校正を経て一定のクオリティがあって、相対的に安価なので仮に合わなかったとしても被害は限定的です。つまり相手側の期待値がプラスになっていると思えるから紹介できるのですが、そういう偽善的なスタンスを貫きやすいのは相応の人数がいるからなのだろうと思っています。そもそもはゼロでも良いのだけど。

APIを利用することのレバレッジ

 趣味プログラミングを再開して思うのはWeb APIの利用がどんどん簡単になっているという事です。『ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる 』の中にもGoogleマップのAPIを利用してはてなマップを5日間で作った話が出てきます。

 色々なウェブサービスがマッシュアップされる前提が既に出来上がっていて、個人が無料で扱う事ができます。着想段階では仮想サーバを借りてJavaなどで「ちゃんとした実装」をしようと考えていたのですが、結果としてオール無料かつ高速に実装できました。それってなんだか不思議な感覚です。Evernoteなどもそうですが、「あちら側」の機能を「こちら側」から簡単に使わせてくれるので、私個人の負担が非常に少ないです。

本当の大変化はこれから始まる

 夜や週末にちょこっと勉強しただけでここまで出来るようになるというのが今の時代です。「知の高速道路」の先の渋滞を抜ける事こそが大変ってのはあるのですが、大抵のやりたい事や、ちょっとした利得に関しては渋滞してる範囲まででも十分に見込みがあるような気がしています。

 そんなわけで、『ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる 』が出た時点ではちょっとバカにされていた部分もあったとは思うのですが、結構的を得た未来予測だったんじゃないのかなーって思いました。

ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる (ちくま新書)

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