太陽がまぶしかったから

C'etait a cause du soleil.

はてなオフィスでセツヤクエストを巡る冒険をしてきた

 机の上の電話で到着を知らせた。「どうせセツヤクエストの話だろう」とためしに僕は言ってみた。言うべきではなかったのだ。受話器が氷河のように冷たくなった。「なぜ知ってるんだ?」と id:kiyohero さんが言った。 とにかく、そのようにしてセツヤクエストの冒険が始まった。

 セツヤクエストについては『セツヤクエストで入賞したので旅を振り返っての反省会 - 太陽がまぶしかったから』にまとめてある。何かを足す必要も、何かを引く必要もあまりない・・・と思っている。ひとつ言えることは、僕は当時ブログにまつる色々な事にうんざりとしていたという事だ。

 それでも歩哨として生き残る価値もあるのだろうと考えていた。良いインディアンとは、死んだインディアンの事だと言われれば、時には悪いインディアンも必要だろうと思ったし、スタージョンの法則でいうところの「90%のカス」を担うのも悪くはない。はてなブログ研究書「はてなブログ村オンライン」の序文はこのように語っている。

 あなたが、はてなブログから得るものは殆んど何もない。数値に置き換えられたプライドだけだ。失うものは実にいっぱいある。歴代村長のぬいぐるみが全部作れるくらいの年間PRO料金と(もっともあなたにヨークシャテリアのぬいぐるみを作る気があればのことだが)、取り返すことのできぬ貴重な時間だ。

 あなたがMacbook Airの前で孤独な消耗をつづけているあいだに、あるものは村上春樹を読みつづけているかもしれない。またあるものはオフ会の帰り道に・・・いや、やめておこう。どれも地獄には変わりがない。

 二位という結果は良くも悪くも僕の実存の有り様を表している。三位の次ぐらいには。ともかく僕は入賞し、そして転落した。椅子取りゲームをしたい人々がいる以上は、僕が座り続けるのはいかにも拙い事のように思われた。

 そんな話も今となってはどうでもよいことだ。和幸のとんかつ弁当をお土産に持っていくべきだろうとも考えたが、まかないランチがあるならむしろ迷惑になってしまう。「タッパーを持ち込んでセツヤクエスト」というアイディアも屑籠に放り込んだ。そのサービスは2013年7月31日に終了している。何もかも終わっていたんだ。セツヤクエストも、はてなアイディアも。

 目下のの関心事はお茶がでるのかという事であった。もし高校野球のマネージャーがドラッカーを読んでいても、それは見通す事ができない。「はてなオフィスではお茶がでない」という命題は半分正しく、半分誤っていた。やれやれ、結論を急ごう。

 すなわち……コーヒーが出された。

 暖房が効きすぎた会議室は緊張で火照った額や頬ををじんわりと汗ばませる。『寒いのに暖房が壊れているから家の中でも寝袋で寝てるけど、これって家の中でiPhoneを使うのに似てるよね - 太陽がまぶしかったから』という前提のある僕は暖房に弱い。汗をかいていると自覚すると余計に焦って赤面が加速する。喉がカラカラに乾いていた。

 はてなオフィスはフリードリンクであるという。そこにペッドボトルのお茶があった。ここでお茶を取るかどうかは迷った。「はてなオフィスではお茶がでない」という命題はそれを僕自身が取るか否かに委ねられている。

 お茶の事はいったん忘れて、Google炊飯器からご飯をよそい、そこにおかずも載せる。仕切りの甘いお弁当のようにご飯に少し汁が染みるが、それも味だ。

 まかないランチをご馳走になりながらキャンペーンやブログの事について話した。出汁を吸った油揚げやカレー風味のする鶏肉など優しい味付けでなんだか懐かしくて満たされた気分になる。

 ご飯を食べる時はペンやスマートフォンを使えない。写真やノートに記録していない時は自分の記憶の方を疑うべき時だと考えている。つまり何を話したかをここに書き出す事は出来ないし、お茶も藪の中だ。それらは当事者の心の中にだけあればよい事なのかもしれない。エゴの拡大を目指すべきではない。

 『西友の5000円スーツを新調してスーツ vs ギークに思いを馳せる - 太陽がまぶしかったから』のスーツを着ていた僕の恰好は「言い方は悪いが所得の低そうな人」に当たるのかは分からない。それでも何かをご馳走になったのであれば、やはりそれを言うべきであろう……にも関わらず「ありがとうございました」しか言えてなかったかもしれない。ここでもう一度言う。ごちそうさまでした。

 昔の話と現在の話が混在すると恥ずかしい部分はある。どれを書いたのも確かに僕のはずだが、どれもが独り歩きしている。ブログは自動追尾型のスタンドであり、僕の意志とは関係なしに検索エンジンやSNSに載せられて何かしらの影響をおよぼしている。良い影響も、悪い影響も。

 この場所に呼ばれたのは過去の僕が遺した「それ」があるからであり、現在の僕自身が「それ」にどう思い入れているかとは、あまり関連はない。真のセツヤクエストは「それ」と僕の寄与との一切が離れた時に達成されるのだろう。広告付きのクロスワードパズルのような。

 ちょうど同じタイミングではてなに訪問していた id:Arufa さんと帰りが一緒になり、いくつかの会話をしながら帰った。家賃を払ったら家に引きこもって家賃の元を取りたくなること、女子大の近くに住んでいるのにハプニングが起こらないのは夢も希望もないこと。研究書は次のように締めくくられている。

 ブログの目的は自己表現にあるのではなく、自己変革にある。エゴの拡大にではなく、縮小にある。分析にではなく、包括にある。

 もしあなたが自己表現やエゴの拡大や分析を目指せば、あなたは炎上によって容赦なき報復を受けるだろう。

 良き冒険を祈る。

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