太陽がまぶしかったから

C'etait a cause du soleil.

自己肯定感は自負心と実能力のバランスによって変動する自尊心の問題

photo by B.S. Wise

自負心の問題、自尊心の問題

 読みましたー。それで思ったですが、「自己肯定感」の話については「自負心」と「自尊心」を分けて考えると理解しやすいと感じました。そこに「実能力」というブリッジを挟む事によって生まれる自尊心の変動期待値が自己肯定感に従属するんじゃないかなと。

 ここでいう「自負心」とは自身が負うべき責任のことで「現在はできてない」可能性を含みますが、「自尊心」は現状をそのまま尊んで肯定するものです。

 例えば、実能力において「私には恋人がいない」という事実があるとき、「自負心」の高低は「私は恋人ができる程度には魅力的であるに」「私に恋人なんてできるわけがない」であり、「自尊心」の高低は「私には恋人がいないが幸福である」「私には恋人がいないから不幸だ」となります。

変動する自尊心

 自負心は自身への「当然できるべきハードル」を作るためのもので、実能力はそれを超える力、自尊心は結果はともあれ現状を肯定する力です。自尊心については現状が低いことよりも、未来においても低いままだとか、落ちていってしまうという「予感」が自己肯定感には影響します。

 仮に現状の自尊心が低くても、今後は上がっていく感覚があれば、自己肯定感はそれなりに高まるでしょう。自己肯定感が高い方が良いとは言い切れないとは思いますが、低すぎることによる弊害は多々あります。

自負心は強いが実能力が不足している場合

 僕自身の自己肯定感はかなり低いのですが、それは実際的な能力に対して相対的に尊大であった自負心が原因にあると考えています。例えば年収1000万で、4人家族で、マイホームがあって、夏休みには海外旅行みたいなロールモデルをまぁ出来るだろうと思う程度には自負心が強かった一方で、いつの間にかムリゲーだとネタバレされていくことで自尊心がズタズタになっていきました。

 「自身の才能」や「社会情勢」を過大評価し、功利主義的に考えても「私の失敗」によってステークホルダー全体の幸福総量が僅かに減ったという罪悪感を抱えるほど自負心が強かったのですが、その一方で「現在の自分自身を尊ぶ」という自尊心が弱いので、自己肯定感が低いというわけです。

 この状態にある場合。実能力の不足を認知しないために出来そうな事しかしないとか、手を抜いたアピールをして自尊心を守ろうとするソリューションが無意識に選ばれる事が多くなります。根治の処方箋としては難易度の高いことに失敗前提で挑戦したり、逆に「私がいなければ」という場所を少し休んでみたりして自負心をゆるめていくことが考えられます。

自負心が弱いが、実能力が足りている場合

 逆に「こんなに幸せなのは運だけであっていつか壊れるんじゃないか」というタイプの自己肯定感の低さもあります。こちらは現在の状態への寄与者を自身の外側に求めるという意味で「自負心」が弱くて、「壊れる=現在は壊れていない」なので現状を肯定する自尊心が強いと解釈できます。一方で「根拠のない自尊心はよくない」というメタ認知として、この自尊心は分不相応に強いのではないという不安を抱き、今後弱くなるかもしれないという不安が結果として自己肯定感を低くします。

 この場合は、他者に対して必要以上に尽くしたり、束縛することによって、「私がいないとダメ」という状態を作り、自負心が補充されるようにするソリューションが無意識に選ばれることが多くなります。根治の処方箋としては今の幸福には自分の寄与があることの認識と、それを維持していこうという肯定です。

その他のパターン

 自負心が強いけれど、実能力が高い場合においては、的確に達成できて強い自尊心を得る事になります。とはいえ、加齢やピーターの法則による実能力の相対的低下が忍び寄る可能性があるため、自負心を徐々に下げていく事が無難です。

 自負心が弱く、実能力も低い場合においては、本人の中で「仕方ない」という諦観が生まれやすいため、それなりの自己肯定感を維持できるものと思われます。そうは言っても客観的な部分を攻撃され続ければ自尊心は壊れていってしまうため、それを守るなり、実能力を上げるなりしていく事が望ましいと思われます。

まとめ

 そんな感じで、適切な自負心とそれに合わせた能力開発が必要なんだろうと思いました。またピーターの法則によって問題解決能力が不足する場面は余程のことがない限り当たるので、別の要素でも自尊心を得られるようにT字型に成長させておく部分が必要となります。

 インターネットは良くも悪くも自負心も自尊心もインスタントに補充しやすい側面があるのですが、そればかりでも仕方がありません。ある程度までは補充しつつも、T字の先端側の問題にも向き合う勇気が必要になるのだろうと思いました。その自負心や自尊心をも超えるように実能力を高めて、その実感を得るのが一番の処方箋なのだから。

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