太陽がまぶしかったから

C'etait a cause du soleil.

モンストのシリアル入力BANで気になるKindleのアプリ内課金迂回問題

photo by Mike Licht, NotionsCapital.com

モンスターストライクがApple StoreからBAN

 iOS版のモンスターストライクアプリがは29日17時頃にApp Storeから削除され、アプリ内課金まで停止となっていたため、大きな騒ぎとなっていた。8月30日現在で復旧しているのだけど、それにともなって「シリアルコードの入力フォーム」の利用が停止された。

いつも、モンスターストライクをお楽しみ頂き、誠にありがとうございます。

iPhoneやiPadなどのiOS端末にて、Apple社からの要請があり、「シリアルコードの入力フォーム」のご利用を停止させて頂きます。 なお、Android端末では通常通りご利用いただけます。

 BANをされてから「Apple社からの要請があり」という停止理由を明記しているため、これが原因と見てよいだろう。その他のソーシャルゲームにおいても招待コードが廃止されていることが増えているのだけど、シリアルコードの入力が利用規約違反になるのはアプリ内課金回避の問題である。

 シリアルコードが利用規約違反になる理由は明確で,ユーザーがAppleの課金システムを通さずに外部の決済システムからコードを購入できるようになると,Appleが決済手数料として徴収する30%の取り分が確保できなくなるからです。プラットフォーム事業者として各アプリ間だけでなく,プレイヤー間での公平な取引を行うことが米FTCにより義務付けられておりますので,ストアを迂回する決済手段は認められません。

マージンを脅かす決算手段と電子書籍の問題

 以前からApple Storeを通さないアプリ内課金手段を設けた方が相対的に利益が上がるという問題があって、アプリ内課金を不可能にしたり、アプリ内課金の場合のみ価格が高くなるという露骨な措置をとっているアプリもあった。特に大きいのが電子書籍である。

 Amazon Kindleでは、アプリ内課金による書籍の購入手段が存在せず、「サンプルをダウンロード」することしかできない。Amazonのサイト上で決済した書籍データがアプリ内に同期されるというスキームでアプリ内課金を迂回しているため、App Storeを経由せずにアプリ内課金相当の動作が行われている。Kinoppy for iOSにおいてはウェブで購入するときとApp Storeを通したときの「二重価格」を設定することで、アプリ内課金を可能としている。

 難点として、BookWebPlusで検索すればヒットするタイトルが、Kinoppy for iOSのストアで検索しても出てこない場合があります。これは、Appleのアプリ内決済の制限で販売価格が決まった価格しか設定できず、BookWebPlusと同じ値段にできないことから起こる二重価格を防ぐため、出版社側で販売を許諾しないケースがあるためです。この場合は、BookWebPlusから購入し、Kinoppy for iOSで同期すれば読むことができます。

 ストアを介さないシリアルコードが問題だとして、ストアを介さないで書籍に課金できたり、安く購入できる電子書籍サービスがどうなっていくのかが気になる。Sony ReaderのiOS版が長らく出なかったのもアプリ内課金における手数料の問題に調整がつかなかったからであると言われており、Apple側の本音を言えば確実にマージンを取れるようにしたいところだろう。

アプリ内課金のマージンを確実に回収しようとするとき

現状のAPPLEの囲い込みはハードウェアで儲けるためではなくてマージンビジネスのためにある。Appleのプラットフォームに広告を出すのもアプリを出すのも、音楽を出すのも、アプリ内での課金にもマージンが必要となる。

 iOS 9においてAppleがマージンを抜けないパブリックなインターネットをみるための Safari では広告ブロックを可能にして、アプリ部分には Apple がマージンを抜けるiAdを推奨してブロック機能は提供しないという意向が見えている。

iOS9以降でアップルが計画しているATS(App Transparent Security)では、HTTPSという暗号化方式のみが許可されています。つまり、この暗号化方式を採っていないアプリの広告はセキュリティの基準を満たしていないためブロックしてしまう、というのが新たなアップルの方針です。

 ATSの施策もセキュリティのためという名目だけど、ATSをデフォルトで実装しているのはiAdであるという優位性がある。シリアルコード入力の禁止であれ、広告方式の限定であれ、確実にAppleのレイヤーを通ってマージンを抜くためのエコシステムを徹底するのであれば現行の電子書籍アプリにおけるアプリ内課金の迂回がBANを逃れられるのかに注目している。

 電子書籍にはマルチプラットフォームの前提があるし、プラットフォーマー同士のパワーバランスもあるから、そう簡単にはできないはずなのだけど、App Storeで課金上位だったモンスターストライクすらBANの対象になるのだなと。

ザ・プラットフォーム:IT企業はなぜ世界を変えるのか?

ザ・プラットフォーム:IT企業はなぜ世界を変えるのか?