太陽がまぶしかったから

C'etait a cause du soleil.

僅かな事実を証拠金に陶酔のレバレッジをかける感情のFX口座を開設する

photo by Images_of_Money

陶酔力がないから強い刺激が必要になる

 僕自身のなかに本質的な意味での「陶酔力」がないから強い刺激が必要になってしまうというか、破滅的なところにしか生まれない刺激を求めてしまいがちであった。だけど最近はリスクジャンキーとしての破滅さよりも、もうちょっと少ない刺激でも十分に陶酔できる感性を磨くほうがよいと考えている。

「彼らはときどき穴を掘るんだ」と老人は言った。「たぶん私がチェスに凝るのと原理的には同じようなものだろう。意味もないし、どこにも辿りつかない。しかしそんなことはどうでもいいのさ。誰も意味なんて必要としないし、どこかに辿りつきたいと思っているわけではないからね。我々はここでみんなそれぞれに純粋な穴を掘りつづけているんだ。目的のない行為、進歩のない努力、どこにも辿りつかない歩行、素晴らしいとは思わんかね。誰も傷つかないし、誰も傷つけない。誰も追い越さないし、誰にも追い抜かれない。勝利もなく、敗北もない」

世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド 下巻 (新潮文庫 む 5-5)

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 「文化的雪かき」も本来的にはそういう性質のものなのだけど、そのことに対して大きな意味を捏造したくなる時もある。実際に少しだけお金や人が動いており、人類の苦痛の総量を0.00001%ぐらい減らしたのかもしれないし、増やしてしまったかもしれない。そんなゼロではないというだけの話に大きなレバレッジをかけてベタにアガったりサガッたりできるのは、人生を楽しむ才能に満ちていて眩しくもある。

ゼロではないだけの文化的穴掘りに夢中になれる才能

 遠くから見たら同じようなものであっても、近くでみると違っていたりもする。よくあることなのか、珍しいことなのか、実はなかったのか。それらは宇宙から見れば0.0000000000000000000001%の指の角度の違いなのかもしれないのだけど、だからこそ安全にアガったりサガッたりできる部分もあれば、醒めた視線もある。ゼロではないだけの文化的穴掘りに夢中になれるのも立派な才能だ。

 家を買う時の100万円はそんなに気にしないのに、20円安い野菜を買うためにひと駅離れたスーパーに行くような話は楽しいけれど飽きも早い。さくら水産の話だから飽きているのか、恋愛の話だから飽きないのかなんて事は個人の資質と気分の話だろうけれど、僅かな刺激を証拠金に感情のレバレッジをかけられるツボを見つけて陶酔力を磨くのも悪くないと思う。

僅かな刺激を証拠金にしながら陶酔するためのFX口座

 こころ穏やかに変わらずに暮らしていきたいというコンサバな願望と、退廃的に変わり続けたいというデカダンな欲望が同居するアンビバレントな感情には、僅かな刺激を証拠金にしながら陶酔していくための陶酔力FX口座のようなものが必要となるのだろう。本当になにもかも捨て去るのには、歳を取り過ぎた。

 外国為替証拠金取引(FX)では手持ち金を証拠金として拠出することで数倍〜数十倍の建玉を動かせるようになる。例えば50万円を証拠金にして1000万円を動かす。ここで重要なのは「全財産が50万円でも一発逆転の大勝負ができる」ことではなくて、「1000万円のうちの50万円を資金拘束するだけでも回すことができる」ことだ。

5%の昏睡状態に20倍のレバレッジをかける

 つまり、陶酔力FX口座を活用することでトリスタン・ツァラの詩のように、65%の自殺のような賃金労働と30%の文化的で健康的な生活によって安全性を確保しながらも、5%の貧血性の火花をともなった、なかば醒めた昏睡状態に20倍のレバレッジをかけて「生の実感」を委ねるポートフォリオを組める。

 自殺した65%は現在のところ仕事に吸い取られており、仕事がない時は昏睡状態となります。この65%の活用方法については考えるべきなのかもしれないし、放っておくべきなのかもしれません。少なくとも昏睡状態で働けばお金が増えるし、何もしなければ安くあがります。

 そして僕自身が「生活を安くあげたい」理由は「非日常」に巻き込まれたくないからであり、それでも出てくる「非日常」への誘惑を5%の劇化能力によって抑えられれば、物理的な日常と認識上の非日常が安全に訪れるスキームが構築できそうです。俺は平和で安寧とした生活が送りたいだけなのにやれやれだぜ。

 現実のFXでは強制的に決済されて有り金をなくすこともあれば、決済すらできずに借金を抱えてしまうこともあるのだけど、それは陶酔力証拠金取引も同じだろう。安全に痛いとタカをくくらない態度も大事だ。ともかく、シニカルになりきらず、コスパを追求しない部分を一定の範囲で確保していきたいし、ちょっとよい物を大袈裟に楽しむFXごっこは、むしろ「丁寧な暮らし」に近いんじゃないかと思う。

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