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ふるさと納税返礼品の通販サイトで意識高い系農産物の「原価」が分かってしまう問題

Taxes

ふるさと納税返礼品の通販サイト

総務省は、ふるさと納税の返礼対象品を購入できる通販サイトを9月にも官民で始める。自粛対象になった返礼品を販売するなどし、地場産業の振興につなげたい考えだ。支払いにはマイナンバーカードを使う仕組みとし、自治体によっては割引制度も取り入れる。

 ふるさと納税の返礼品サイトができるそうだ。ふるさと納税とは、道府県市区町村への「寄附」をおこなって確定申告することで、その寄附金額の一部(ほぼ全額)が所得税及び住民税から控除される仕組み。

 大半のふるさと納税利用者は返礼品が目当てであるため、消費者目線からすれば「格安購入」の側面もあった。自治体同士の争奪戦が加熱して新しい名物を開発したり、金券や家電などの御礼品に走る自治体もあった。

通販サイトで御礼品の「原価」が分かってしまう問題

 このサイトで通販の対象となるのは地区ごとの名産のリブランディング品が中心になるだろう。 ふるさと納税は単純に税収の移転をするだけでなく、地方にとっては御礼品のための雇用創出が大きいとのこと。

 農家にコンサルタントが入ってキャッチーな品名のリブランディング品を長文LPで通信販売させようという六次産業化の流れが加速していたが、これは税額控除される寄付の御礼品というチートによって生産者側の高利益が確保しやすい状況も後押ししていた。

 意識高くブランディングされた農作物や海産物は素人眼には価格感が分からず、寄付控除によって実質無料で提供されるからこそ、言い値の2万円の寄附金に化けさせることができた。しかし、ふるさと納税返礼品の通販サイトで例えば5,000円で売り出したら、消費者目線での吟味の俎上にのってしまう。

「消費者目線」という解呪

 消費者には最低限の代価で最高のサービスを得たい本能がある。安く売り出せば原価率*1が明確化され、高く売り出せば割高な商品を買う合理性を吟味してバカバカしくなる。そうなればブランディングの魔術はおわりだ。「返礼品に家電製品はそぐわない」「返礼品の金額は3割まで」といった締め付け施策も、このサイトありきのようにも思えるけど、規制で競争を抑える方向性はどうなんだろう。

 まとめると、ふるさと納税が地方名産品の高利益を確保するための隠れ蓑になってきて、それは税収や雇用創出という意味では決して悪いことではなかったのだけど、消費拡大のために消費者目線に晒されると最終的な利益を減らしてしまう結果になるんじゃないのかなと。「実質無料なら欲しい」から次の段階にいくためには必要なことなのかもしれないけれど。

*1:正確には「原価」ではないが