太陽がまぶしかったから

C'etait a cause du soleil.

「岡田斗司夫の理屈信者」によるレコーディングダイエットアルティマニア

教義に殉じることで本人との決別を試みる

 岡田斗司夫については自分の人生の節目節目で登場する存在でした。少年の頃はと学会やオタクアミーゴスをよく読んでましたし、『ぼくたちの洗脳社会 (朝日文庫)』に衝撃を受けて、テキストサイトを始めたのも今となっては良い思い出です。「評価経済社会」にも「いい人戦略」も「レコーディングダイエット」にも影響をうけてますし、このブログの相談コンテンツは毎日新聞のコーナーからです。そして今回、恋愛について書こうと試みていたら愛人80人問題が起きました。

 生活習慣の乱れや酒や深夜ラーメンなどによって、ダイエットからリバウンドしつつあるし、実践の伴わない誇大妄想を膨らませていくのは、いかにも残念です。だけども、「理論の正しさと本人の人格は別物」だという思いも僕にはあって、むしろ理論自体に殉じる信者になる事で、偶像としての本人からの決別ができるのではないかと考えました。神話的暴力にラディカルに殉じる事は、神的暴力すらをも無力化するのです。彼のあり方とモルモン教が似てしまうのは仕方がない。

 などという大袈裟な前振りはさておき、なんか気を抜いてリバウンドするのもダサいので本書を読み直して再実行していたのですが、この考え方は改めて「時間」「金銭」といった事への応用力が高いと感じました。「時間」「健康」「金銭」とは、自身のサスティナビリティを高めてを何かを為すための土台となるパラメータでなのですが、それらを効果的に高めるための定量化やゲーミフィケーションについて、改めて考えていきたいと思います。

自分の身体を舞台にして行うソーシャルゲーム

 レコーディングダイエットの仕組み自体は以下のように非常にシンプルです。本書を読まなくても知っている人は多いのではないでしょうか。

  • どれだけのカロリーの物をいつ、どれだけ食べたかを逐一記録
  • 自分の一日の総摂取カロリー量を確認
  • 体重を毎日決まった時間にはかり、グラフにプロット

 しかしながら、この方法論はあくまで心理的なアプローチであるため、その前段階での現状把握フェイズを飛ばすとあまり良い結果にはならないとは思います。岡田斗司夫自身がメソッドを部分的に理解して実行すべきでないことを「賢明なブログ読者の皆様へ: 【今日だけダイエット】のススメ」に書いています*1

 レコーディングダイエットは「助走→離陸→上昇→巡航→再加速→軌道到達→月面着陸→月面リゾートでの生活」という段階を経て進められるとあります。ここでいう再加速以降がリバウンドの防止であり、そこから先は意識せずとも体型が崩れないという段階に行くためのプロセスとなります。私の場合は再加速に失敗して墜落しそうになっているため、ここからの大きな再加速を目指すことになります。

定量評価とゲーミフィケーション

 ダイエットはゲーミフィケーションが比較的やりやすい分野であると考えられます。ゲーミフィケーションとは、ゲームデザインの手法や仕組みを用いて問題解決や顧客獲得を行なう手法のことです。色々な定義はありますが、本稿では下記定義における「狭義」にあたる意味で使用しています。

  • 最広義: ようするに、ゲームっぽくて役に立つものなんでも。
  • 狭義: 「コンピュータゲームのなかで特徴的に培われてきたノウハウを現実の社会活動に応用する」こと。アドバゲームやシリアスゲームは含まない。
  • 最狭義: そのなかでもとくに「強化学習プロセスやフロー体験を成立させるための最適なフィードバック設計のノウハウ」を応用すること。

    ゲーミフィケーション - Wikipedia

 カロリーや体重や体脂肪率というのは、基本的には定量的な存在です。「痩せたいなぁ」と思っていても何も変わりませんが、数値化が行なわれると「俺の月給は10万円だと思い込むメソッド」のように先に制限を決めてやりくりするゲームをしやすくなります。

俺、今貧乏ごっこしてる。

毎月給料もらったら、10万円だけ手元に残してあとの残りは全部、貯蓄専用の銀行口座に入金して絶対に触らない。

そして、「フッ、どうせ俺は手取り10万円の安月給サラリーマンなのさ。。。」 って自分自身に暗示をかけ、その手元のお金だけで生活していくんだ。

そうしたらさ。
特に「金貯めるぞ」とか意識したつもりもないのに2年間続けただけで口座にお金がなんと24万円も貯まったぞ!

 本書中ではこのことをヒッチハイクに例えています。「俺の1日の摂取可能カロリーは1500kcalまでだと思い込むメソッド」です。

 「離陸」段階で、自分のカロリー摂取量、好物のカロリーはだいたい把握できているはずだ。いかにそれを組み合わせれば、一日1500カロリーの食事になるか? これは一種のパズルゲームだ。
 ルールは簡単、
「摂取カロリーを毎日1500以内におさめる」
「できるだけだけ好きなものを食べる」
 この二つだけ。
 上限を頭に入れて、その範囲でいかに好きなものを、美味しく、楽しく食べるか。
 そう、これはヒッチハイクと同じだ。一日1500円以内でヒッチハイクしようと思えば、「朝ご飯は180円に押さえて、お昼は350円でカレーを食べて」などと、いろんな組み合わせを工夫することになる。

レコーディング・ダイエット決定版 (文春文庫)

レコーディング・ダイエット決定版 (文春文庫)

 カロリー制限は即座に体重減という結果に反映されるわけではありませんが、カロリー摂取量のみで考えれば、かなりの範囲で自律的な制御が可能であり、「実績の解除」としては簡単な部類となります。7000kcalマイナスになるごとに1kg分の脂肪が減ると言われており、積み上げた実績は着実に体重に反映されていきます。

実績を解除するために「事実ではあること」を積み上げる

 「実積の解除」とはXBOX360においてゲーム内である条件を達するごとに解除されてスコアが入る要素の事です。単純なゲームのクリアーとは別にオブジェクトを100回壊すだとか、ナイフだけでクリアーするといった条件を達成するためには、「縛りプレイ」が必要となり、本編とは別のレイヤの楽しみが生まれてきます。

 この「実績の解除」では、提示された実績に対して手段はさておき「事実ではある」事を積み上げて閾値を超えていく発想力が重要です。例えば「通信対戦モードで10連勝する」という実積を解除するためであれば、プライベートモードで友達に乱入してもらって達成することも考えられます。それと同じように平均1500kcalを守るために色々な手段を考える事ができます。例えば弁当やスナック菓子をパッケージの通りに食べる必要はないし、週末に断食をしても良いのです。

 それに加えて私の場合は、カロリー超過による「借金」をトレーニングによる消費カロリー値を使って「返済」するというルールを認めています。このカロリー値については、食事の摂取カロリーと同一のベクトル空間にあるため減算が可能と見なしています。このようなルール設計において週単位での摂取カロリーが1500×7=10,500kcalを超えないように帳尻を合わせていけば、基礎代謝や日常の動作によるカロリー消費と相殺しあって着実に痩せていくことができるわけです。

努力目標と結果目標のコントロール範囲

 ここでのポイントは目標を「体重」ではなく「カロリー」に再設定した事です。仕事でも勉強でもそうなのですが、自身のみではコントロール出来ないものに対して目標設定をすると辛くなりがちです。

 どんなに頑張っても営業の受注率は一定範囲でしかコントロールできませんし、相対評価で合否が決まる試験も多いです。恋愛などは最たるものでしょう。なので目標として挙げるのは「10社に訪問する」「1日1章づつ読み込む」「とりあえずお礼メール」と行った比較的コントロール可能なものを対象にしたほうがメンタルヘルス的に有効です。

 その一方で、努力目標の達成し続ける事によるリワード(報酬)についても自身の欲求に合わせて再設計する必要があります。「痩せる」という欲求が出たのはなぜでしょうか。つまり「あるべき姿<現状+課題」における「課題」に「痩せていない」が導き出された原因について考える必要があります。とはいえ、ここで先立って思っていたであろう「真実の理由」などというものを探る必要性はありません。コミットメントの理由は関連事象を検討していくうちに、しばしば後から捏造されてしまうものだからです。

リワード(報酬)の再設計

 ゲーミフィケーションのリワードには以下の三種類があると言われています。

  • マネタリーリワード
  • ソーシャルリワード
  • インナーリワード

 1つ目は「マネタリーリワード」と呼ばれる、金銭的な価値を伴うリワードです。割り引きやクーポン、景品などがこれに当たります。2つ目の「ソーシャルリワード」は、評判やステータスなど、無形ではあるものの、社会的な要素を伴うリワードです。3つ目は「インナーリワード」。文字通り、自己承認や自己実現など、内面的なリワードを指します。

マネタリーリワード

 引用元においては、マネタリーリワードの副作用が強調されています。金銭が絡むと「事実ではある」事の積み上げについて、形骸化が進んでしまいがちだからです。数値として痩せせたところで賞金がでるようなテレビに出演しているわけではありませんし、体重を使った賭けをするとなると体重計の細工や計測直前の断食などの欲が出てきてしまうのは必定でしょう。

 しかし、リバウンド予備軍にとってマネタリーリワードはかなり有効です。一度痩せていると、それなりにタイトかつ高級な服を買ってしまったりするものですが、一定以上リバウンドが進むとそれらの服が着られなくなってしまい、埋没費用となってしまいます。これを回避しようというモチベーションは案外大きいので、ベスト体型の時にサイズ感ピッタリの良い服を買っておくというのはひとつの報酬系になります。

ソーシャルリワード

 直接的にモテるかはともかくとして、痩せればそれなりに話題にはなりますし、話すきっかけになることもあります。「俺、痩せたらあの娘に……」は「脂肪フラグ」と呼ばれる危険な兆候ですが、そんな風に思える程度の自信でもプラスになる場合がありますし、『モテキ(1)』のように動機付け要因として敢えてベタに信じ込むのも良いでしょう。

 仕事場や公共の場においても、異常に太っている人よりは信用されたり、不快感を抱かれない可能性が高いです。大きなプラスになる事への保証はできませんが、マイナスを0に近づける効用についてはかなり期待できるのではないでしょうか。

インナーリワード

 ダイエットに成功した時の自己承認はかなり高いものになります。健康診断がA判定に近づき、体脂肪が1桁になり、身体が軽いという実感は気分をよくします。そして自身のコントロール範囲の拡大が実感できることで、他の事へのチャレンジ欲求が高まります。それも脂肪フラグなのかもしれませんが、過剰に引きこもるよりはマシかもしれません。

 実際問題として痩せたらモテモテなんてことはありません(ソースは俺)。それでもいくらかはマシになりますし、健康になったのは未だによかったと思っているので再実行しようとしています。

私は太るための努力をしてきた

こうしてメモをつけてわかったのは、私は無自覚なうちに、さんざん「太るための努力」をしていたということだ。実は太っている人は、「努力して痩せられない」のではない。実は効率よく太れるように、毎日、一生懸命努力し続けているのである。

レコーディング・ダイエット決定版 (文春文庫)

レコーディング・ダイエット決定版 (文春文庫)

 上記は本書の中で一番好きな文章です。僕が太る時の食事は客観的に考えればかなり滅茶苦茶です。夕飯を食べた後に呑み会に呼ばれて普通に飲み食いしたり、週末に予定がないからとラーメン二郎行った後にポテトチップスを食べながら夜通し呑んでみたり、こってりラーメンとから揚げ定食のセットを食べてみたり(天下一品ではよくあること)。普段だったら頼まれてもやらないような事をしています。

 スナック菓子や酒は最初の数口のみが美味しいわけで、そこからの満足度はどんどん下がっていくという収穫逓減の法則を自覚しながら惰性的に食べているところがあります。これは「太る努力」というよりも、ひいては「心身が不健康になる努力」であり、「時間を使う努力」であり、「お金を使う努力」でもありました。

擬似自殺としての体重変動と憑き物落とし

 実のところ、食事の記録はずっとしてきているので、太るための努力をしているアノミー状態については自覚的にやっていたところがあります。単純に酒を呑んで忘れてたいみたいな要素もあるのですが、これはHPをMPに変換する擬似自殺儀式なのではないかと分析しています。

 精神状態についての数値化は難しいのですが、身体的な健康に関しては体重や体脂肪や血圧や肝臓など数値化による把握が比較的可能です。よって「HP⇒MP変換」スキルというファンタジーによって、精神汚染状態を定量評価可能な身体的な健康要素に置き換える事が可能となります。

 そして定量評価可能な身体的な健康の指標はゲーミフィケーションによって回復のための行動に落とし込みやすく、相関関係が明瞭であり、成果の進捗が見えやすい。よって身体的な健康を明晰に回復するという儀式によって、憑き物が完全に落とせるという経験則が私にはあります。「再加速」を実感するための「回復」を演出するためには安全に痛い範囲で擬似的に自殺する必要があるのです。日産のV字回復と同じ理屈です。

 大澤真幸は『不可能性の時代 (岩波新書)』において空想的な「より現実らしい現実」に耽溺して、「これが現実だよ」などと曰う「現実への逃避」を指摘しましたが、コントロール可能な「げんじつ!」を手に入れる事は自己の寄与範囲の実感を取り戻す足がかりとなる場合があります。この時に「事実ではある」事を積み上げる事が有効です。全てを妄想でなんとかできるほどの妄想戦士の素質がある人々は少ないので、「拡張現実」が必要となるということです。ネット上の「いいね!」や「ブクマ数」などに拘る人が多いというのもひとつの形でしょう。

 食事を記録をしていくことの効用として、自分のなかで帰納的に相関関係を見出して、このような「法則」の仮説をいくつか手に入れることがあります。体重やカロリーについては金銭と同様に定量的であり、客観的なグラフ化を行なう事が簡単にできます。記録を取るとなれば、多少なりともマシにしようという意識が自分の中で働きやすくなります。それはカロリーに限らず、お金でも時間でも同じです。誰かが来るとなれば部屋を掃除するようなもので、無神論者であっても有効な「その目、だれの目」が設定できるのです。

擬似相関とシュレディンガーの猫

 その記録によって100%の相関を見つけたわけではなく、ただそうなる事が多いという事さえ認識できさえすれば、自然と楽しくなる可能性が高い方に向かうし、そうでない可能性を避けることになります。

「あなたという猫箱の中に、買収されて裏切ったあなたと、裏切ってないあなたの2人が共存しているわ。……その片方の、裏切ったあなたを殺す方法は?」

(中略)

「猫箱ごとあなたを撃ち殺せばよいんだわ」

うみねこのなく頃に散 〜真実と幻想の夜想曲〜(通常版)

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 これは原発事故であれ、営業案件であれ、人間関係であれ、同じ事です。シュレディンガーの猫箱ごと壊したり、離れる事で本質的なリスクを避けることができ、その一方で「そうでなかった」可能世界まで保存することが出来ます。ここで殺せば裏切られる可能性を潰しながらも、「裏切ってなかったかもしれない」という一抹の希望だけは暗い藪の中に保存されるということです。宴もたけなわ、あいまいみーにしておく方が幸せなことはたくさんあります。

 感情の流れを記録をしていくことで、お金を使う可能性が高い環境や心理状態、無駄な時間、体調、楽しい、切ない、憂鬱といったことを感じるトリガが分かっていく。金や体重であれば絶対値も分かる。もちろん、このような自己法則は仮説であり、嘘である可能性を内包します。それでも反証するために複数回ネガティブになってみるのは本末転倒であり、猫箱ごと捨てる覚悟も必要な場合があります。

 それらはウィトゲンシュタインのいう「梯子」であり、方便であることを認識しつつも、次に進んでいくためには必要なトリアージとなります。「人生、宇宙、すべての答え」を解くのは残念ながら私ではないであろうと思いますが、自分なりの中間解は得ていけるものです。その不安定な「梯子」はいつか取り払う必要がありますが、それは死ぬまでに登りきれたら考えればよいことでもあります。

時間効率がよくて楽しい運動について

 話がそれました。レコーディングダイエットでは特別な運動はしないという前提になっているのですが、以前の私は食事制限とスポーツジムが両輪でした。ただスポーツジムについては時間と意志力が必要で、そもそも精神状態があまりよくないのに通うというのは難しく、逆説的にどこかの飲み屋に寄っていきたくなってしまうみたいな事が増えてしまったので解約しました。

 なぜそうなったかを考えると、新しく入りなおしたスポーツジムは漫画を読みながら自転車を漕いだりといった事が禁止されていたという事が大きいと思います。当時も運動自体を毎回楽しんでいたわけでもなく、スマホで遊んでいたら2時間走っていたみたいな事が多かったです。テレビを観ることはできるのですが、その時間帯の番組は面白くありません。まったく残念な事ですが、僕にとって楽しい運動とは、「ながら」で行う娯楽をどの程度楽しめるかという事に相関しているということです。そこで「ながら」を最も許容する方法として、自宅で行うアニメダイエットを思い出しました。

 アニメダイエットとは『アニメダイエットに関する覚え書き』で提唱されているダイエット方法で、すなわち「アニメを見つつ踏台昇降をする」ということです。踏み台昇降運動は1時間300kcal弱と意外に効果的な有酸素運動であり、かつ振動によって隣人から壁ドンされにくく、省スペースで行え、何より「ながら」をしやすい運動となります。今の部屋でもDDRが出来ればジムに通うことなどなかったのですが、アパート暮らしでそれは難しいです。アニメダイエットではアニメを観る事が前提となっていますが、ゲームをしながらできます。『DREAM C CLUB(ドリームクラブ)ZERO PORTABLE』を用いる事で踏み台昇降しながら接客されることも可能です。ここが桃源郷か。

コントロール範囲を他律的に増やす

 記録しているとはいっても店にメニューが並んでいれば一番美味そうで、しばしばカロリーも高そうなものを注文してしまう自分がいます。選択しろと言われて毎回それを選ばないという意志力を発揮するのは実際難しいです。食事においてコントロール可能な範囲を増やすためには弁当が有効です。弁当を持ってきているのに外食するというのは、それこそ「不断の努力」が必要となるでしょう。『システム自炊法―シングル・ライフの健康は、こう守る (中公文庫)』という本に「外食は週11回までに留めよ」というゲーミフィケーションな提案があるのですが、平日ランチが外食であると既に5回消費しており、残業や週末の会食などを加算すると簡単に超えてしまいます。

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 ですがランチを弁当に置き換えると途端に簡単になります。例えば土日の昼夜を全て外食にしたところで4回ですし、平日に残業して夕食をコンビニで済まして、金曜に呑んでも都合9回です。実際にはそこまで残業する事もないので、かなり少ない回数になっています。11回というのはあくまで「最悪でも」という設定であり、少ないことにこしたことはありません。

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自分で設計したゲームで自己をコントロールすること

 僕達はそれぞれのレイヤーにおいて環境管理をされているのですが、過ごす環境を選ぶ能力と一定の範囲で環境をメンテナンスする能力があります。現状把握と定量化と自動運用によってベターな選択肢を他律的に選んでいく環境を構築し、太るための努力をしなければ太れない状況にする。それは「自分が遊ぶためのゲームを自分で設計する」といった話なのですが、そもそも人生とはそのようなものなのかもしれません。

 そして選択は0か1を選び取るのではなくて、多元的なベクトルの中で調律してよいものです。つまり、この猫箱の中身を「食べた世界線」と「食べなかった世界線」の二つに分かれるだけではなくて、「7割食べた世界線」や「最初の一口だけを食べた世界線」があっても良いのです。この可能世界において私は「非モテになる努力」を辞めて2割ぐらいはマシな世界線に移動する。それがシュタインズ・ゲートの選択である……なんつって。

レコーディングダイエット・アルティマニア

 レコーディングダイエットは現実をゲーム化(ゲーミフィケーション)するためのものですが、自分が実際にプレイしているゲームのシステムを把握しなければ、その攻略は難しいため、以降はゲーム攻略の観点でダイエットを読み解くこととします。レコーディングダイエットに限らず、ダイエットは以下のゲームの組み合わせであると考えています。

  • ファイナンシャルプランニングによる借金返済ゲーム
  • 価値工学理論を用いて最適な費用対効果を得るゲーム
  • 成果を競い、攻略法で交流するソーシャルゲーム

 よって「ダイエット」というゲームは、それらの組み合わせを意識した上で、どのようなアクションプランを取っていくのが良いのかということを探り、またそれを容易に実行していくための環境を整えるゲームとなります。考えているだけでは絶対にクリアーできないのがダイエットというゲームです。

 しかしながら僕の人生においては、それに加えて複数の欲望が競合しあっています。仕事を辞めれば、もっと運動できますし、お腹が鳴っても家の中にいるなら問題ないでしょう。社会関係やストレスの問題がなければ飲み会に出席する必要もありません。痩せるためなら死んだって良いなら49日間断食即身仏ダイエットでもすればよいのです。実際問題としては、痩せればすべて解決するわけではなく、あくまでダイエットは他のゲームをクリアーしやすくするための素材を手に入れるためのものであり、必然的にメタゲーム、メタメタゲームについても意識する必要がでてきます。ダイエットというゲームを攻略するためには、ダイエットゲームの中だけではなく、その外部で発生した矛盾の解消や実績の解除を目指すメタゲームも一定の範囲で攻略する必要があるということです。

 そうは言ってもメタを積み重ねて際限なく複雑度を広げていってもムリがあります。よって、「ダイエットより上位のゲームへの影響は最小限にしつつ、それが可能な場合のみ有益な影響を与える」という戦略を取ればよいわけです。簡単に言えば、普段の生活を大幅に変えなくてもダイエットとしての効果を得られる方法を選びましょうという事です。次項から個々のゲームについて検討していきましょう。

ファイナンシャルプランニングによる借金返済ゲーム

 まず借金返済ゲームです。「あるべき姿=現状+ソリューション」という定式が『エンタープライズとしての<私> とステークホルダとしての<私>〜ビジネスアナリシスの私的流用 - 太陽がまぶしかったから』で示した通りにあるのですが、これは「あるべき姿-ソリューション=現状」に式変形できます。ここで「あるべき姿」を「普通の自分」であると定義すると、「現状」は「ソリューション」として定義された分の「借金」をしていると見なせます。よって、この「借金」を返済するためのゲームが立ち上がってきます。

 ここで、「借金」について最終結果である「体重」で考えてしまうとアクションプランの策定が難しくなるため、「カロリー」を返済するゲームに変形します。自分の場合は58kgになってしまったので、それを53kgまでは戻そうと考えました。1kgの脂肪を減らすためには7,000kcal必要であるため、以下の計算式によって消費すべきカロリー量が算出できます。

  • 53=58+S
  • S=-5
  • -5×7,000=-35,000

 この35,000kcalの消費を借金に見立てて、3ヶ月(90日)で返済しようと考えると「35,000 / 90 = 389」で、1日ざっくり400kcalの返済を目標とすればよい事が分かります。なおカロリーの世界では金銭と比較して「消費」と「蓄積」の符号が逆になるのですが、ここでは「カロリー消費=返済」「カロリー摂取=借金」と捉えることとします。

 借金額は分かりましたが、返済計画を立てるのにあたっては、既にある収入源を精査する必要があります。人体には大きく分けて3つの収入源があり、それぞれが以下のように対応付けられます。

No 収入源 カロリー消費源
1 給与収入 基礎代謝
2 利息収入 活動代謝
3 臨時収入 能動的運動

基礎代謝

 人体は基礎代謝として呼吸や血液や内臓などを維持するために1500kcal程度は自動的に消費しています。加齢や筋肉量の衰えによって消費量が下がってしまうのですが、自分の場合はまだ1500kcal計算で大丈夫そうです。これは日当1500円が普通に生活している限りは支払われるという事です。

 基礎代謝をあげるように筋肉をつける事も必要ですが、よほど筋肉量を増やせる余地がある人を除いて3ヶ月程度では1500が1550になる程度の賃上げしか望めないため、短期間では誤差と考えた方が良いと考えています。ただし長期的に見れば難易度を下げる効果があるため、定期的に腕立てや腹筋をすると良いでしょう。

活動代謝

 基礎代謝と消費カロリーの関係は日当1500円から400円天引きされる構図に似ています。では残りの1100円で過ごさないといけないのかといえば、そんな事はありません。仕事や家事や移動や消化など、普段の生活によって消費される基礎的な「活動代謝」があるからです。

 活動代謝は普段の仕事や家事の運動強度はもちろんですが、体温上昇や消化活動などによって消費される割合が多いため基礎代謝にも比例します。活動的な成人男性などはここでの消費量が十分に多いため、いくら食べても太らない状態になりやすいのですが、年を取ると減っていってしまいます。自分の場合は平日で基礎代謝の20%、休日で10%と見積もっています。ちょうど資産運用に応じて支払われる利息のようなものですね。なお断食は活動代謝量低下の観点から非効率的になる可能性が高いと言われています。

能動的運動

 臨時収入を得るためのアルバイトを追加で行う事もできます。つまり能動的な運動です。個人的に食事制限のみできちんと痩せるのは、相応の期間やストイックさがないと無理と考えています。以前はジムに通い、過去にはDDRなどを使っていましたが、現在の環境では難しいこともあり、アニメダイエットによる踏み台昇降を行うこととしました。

 踏み台昇降運動は1日1時間するとして300kcalの消費です。ふくらはぎを中心に筋肉が付いていくので基礎代謝UPもできると思います。予定のない休日は3時間以上できますが、忙しくてできないときもあるので、平均して平日と同じと見積もります。

返済額の計量

 以上の三つの要素によってそれぞれの日毎の消費カロリーを計算すると以下のとおりです。

  • 計算式:基礎代謝+基礎代謝×活動代謝係数+能動的運動=日毎消費カロリー見込み
  • 平日:1,500 + 1,500 * 0.2 + 300 = 2100kcal
  • 休日:1,500 + 1,500 * 0.1 + 300 = 1950kcal

 これで平日2250kcal、休日2100kcaの消費を見込めるようになりました。ここから毎日400kcalを返済すると残りは平日1700kcal、休日1550kcalとなります。実際には飲み会があったりしてギリギリのラインでは立ち行かなくなるので毎日100kcalをバッファとして積み立てておきましょう。よって平常時のカロリー残高は平日1600kcal、休日1450kcalと計算できます。レコーディングダイエットでは「1500kcal以下」がキーワードとなっていますが、目標達成のためには運動を加えれば、もう少し楽にできる事が分かります。

 ファイナンシャルプランニングにおいても本気で借金を返そうとするなら給与収入を増やしたり、節約で乗り切るのには限界があって、夜間や休日に臨時労働を入れて繰り上げ返済するのが最善手になりやすい構図となります。結局のところで、このゲームをクリアーするには以下の当たり前の話が必要となります。

  • 消費カロリーを見積もり値以上にする
  • 摂取カロリーを見積もり値以下にする

 ただし、この見積もりはあくまで近似値であって絶対的なものではありません。完全に理屈どおりにはいかないと思いますし、運動の仕方ひとつとっても消費カロリーは変わっていきます。食料のカロリー量だって完全に把握することはできません。それでもガイドラインを認識することには価値があります。「出来るだけ頑張る」を戦略として選択しすると、いつまでたっても目標に近づけない事に苛立ち続けたり、実質的には何もしないのと同じ状態になりがちです。日々の返済額と収入源を意識して摂取カロリーをコントロールすることで着実にゲームクリアーに近づきます。摂取カロリーのコントロールにはもちろんレコーディングダイエットを用います。

価値工学理論を用いて最適な費用対効果を得るゲーム

 ダイエットのためにカロリーコントロールをするのは意識的であれ、無意識的であれ当たり前の話です。それでも失敗するというのは別のゲームが邪魔をするからです。仕事や社会関係など様々な外部要因があることはもちろんですが、もっと単純な内部要因によるものも多いです。例えばカロリーが少ないものを食べ続けても美味しくなかったり、飢餓感を煽ったりして、ラーメンやスナック菓子に手を付けたりしてしまう事です。これは本質的に、「カロリーは少ないけれど旨みや満腹感が少ない」から「価値が低い」食物を食べ続けた反動と言えます。僕自身もプロテインジュースを食事代わりに飲むダイエットなど全くやる気がしません。

 この構図において価値工学理論が応用できるのではないでしょうか。価値工学理論においては「価値V = 機能P / コストC」が基本パラダイムなわけですが、コストCをカロリーCに置換しても有効です。先の借金返済でも貨幣をカロリーに置換しましたが、コストという貨幣もカロリーに置換可能ということですね。

  • 価値V = 機能P / カロリーC

 食事の機能Pとして挙げられるのは「満腹・旨味・栄養・心的満足」といったところでしょう。価値工学においてはコストCの上昇を認めますが、ダイエットという観点からはカロリーCの下降を前提として以下の状態を満たす食事の方が「価値が高い」と意識して選択していくこととなります。回転寿司に使わえる代替魚についてはコストCで同じようなことが行われています。

  • 機能Pが上昇し、カロリーCが下降する
  • 機能Pが同一であり、カロリーCが下降する
  • 機能Pが下降し、カロリーCが機能下降分よりも下降する

 具体的な料理方法については割愛しますが、スチームオーブンやマンナンライスなどです。ノンフライヤーも興味があります。基本的に「機能Pが下降し、カロリーCが機能下降分よりも下降する」ものが増えてしまうのはある程度までは仕方がないと思います。それでも、機能Pの下降について最小限に食い止めて「同じようなもの」であると見なせる場合において継続性を高めることができます。そして「同じようなもの」を選んでいくのは「普段の生活になるべく影響を与えない」というメタゲームにおいても重要となってきます。

明るい食品偽装入門

明るい食品偽装入門

「同じものようなもの」認定と低解像度化

 ところで肉や油をあまり使わなかったり、代替食品を使うことについて、「既存の食事と同じようなもの」と考えられるのはそれだけ味覚が鈍いからであるとも言えます。「おなじようなもの」に感じるのは「解像度が低い状態でのマッチング」であると考えています。画像の類似度を計量する場合において、その画像が利用できる解像度や色数が少なくなるほど類似度が上がる可能性が高くなります。明度以外は全く異なる物体のそれぞれを被写体にして1ドットの白黒画像として表現すると「全く同じ」画像として受容されるという事です。それは極端な例ですが、実像に対する情報量が少ない場合は細部が異なっていても「同じもの」であると認識されやすいということです。

 これは食事に限らず「小腹すいてるけど、もう寝るから食べても食べなくても同じだなー」や、「踏み台昇降してても、ながらゲームが出来るから良いかー」といった「AとBがあるけど、どうせ同じならカロリーを減らせる方を選ぼう」というパラダイムを習慣付けることにもなります。このときのαとβは「同じようなもの」と感じる範囲が広いほうが有利であり、ある種の鈍感力が必要となってきます。しかし、この鈍感力によって味音痴などを促進してしまう可能性があります。「同じようなもの」への認定範囲が広いというのは、それだけ鋭敏な価値観内における「厳密な一致」を阻害する可能性が高くなるということです。例えば野球が好きな人に「野球って10人前後のチームスポーツだからサッカーと一緒でしょ?」と言えばコミュニケーションが成立しませんし、前提知識が無いとしか思えない発言や行動に不愉快になる可能性も高いです。

 なので「違いを分かりつつも、これはこれでアリ」という方向をなるべくは目指したいものです。薄味で油を殆ど使わない料理方法を試して「ベクトルは全然違うけどスカラー量では同じぐらい美味」という事です。むしろ薄味の方が素材の味がして美味し!とまでいけば最高です。味覚の鋭敏さには亜鉛が有効だそうです。

「同じようなもの」の差分を積分するサラミテクニック

 料理方法に限らず、殆ど変わらないものを同じものとして感じる特性を利用したハッキング手法としてサラミテクニックがあります。サラミテクニックとは、すべての預金口座の1円に満たない利息額を集めて引き出したり、大量のスキミングカードから数百円を引き出して個々の不正が発覚しない程度に大量詐取していくことです。サラミを1本盗んだらすぐにバレてしまいますが、数mmづつスライスして合計1本盗んでも気付かないということですね。これは油の量や砂糖の量を少しづつ減らしていっても「同じようなもの」の範囲にある限りは問題なく、それが積みあがることで効果がでてきます。また料理の工程において複数の器に移していくと、そのたびに前の器に残ってしまう部分がでてきますが、その事と満足度の相関はほぼありません。小麦粉で言えば5gの話かもしれませんが、5gの小麦は20kcalあります。油や砂糖はもっとです。

 それを意識的にしていくことで世界線を少しづつ移動していきます。「7割食べた世界線」は「99%食べた世界線」でも良いのです。それは「1%食べなかった世界線」であり、毎日を積み上げれば100日間で1日分の断食が行われるのとほぼ等価になります。切れ端を集めて一本分のサラミが作れるという事ですね。ちょっとした機会があれば運動するのもそうです。

成果を競い、攻略法で交流するソーシャルゲーム

 古くからダイエットは一定のマーケット規模を保ってきました。ダイエット本が書店に並び、テレビでオカルトじみた新説が流され、インターネットのコミュニティにも様々な体験談が並びます。そう考えるとダイエットとは世界中の一部の人々が真剣に参加しているソーシャルゲームなのかもしれません。この記事も自分の身体を舞台にした世界的なソーシャルゲームの数ある攻略方法のひとつの案です。

 自分自身の攻略方法が正しい事を実証するためには、実際に痩せる必要がありますが、そもそも痩せるためには太っている必要があります。つまり、以前の自分が「太るための努力」をし作ったてハードルを超えるために「攻守交代」をする独り遊びとみなすことができます。ひとり野球は結果をすぐに出さなければいけないですし、ひとりボクシングを無心でやるのも無理があります。しかしダイエットであれば自分が取った太り方戦略とは独立して攻略法を試していく事ができます。パラメータを他の人に割り振ったり、交換することもできません。このソーシャル要素がありながらもスタンドアロンプレイを基本とするゲームシステムはパズドラを始めとしたソーシャルゲームのトレンドです。

 またダイエットのレアガチャには効果が一定の範囲しか保証されないスポーツジムや低カロリー食品や整形程度の選択肢しかありませんが、それは無課金兵でも十分にカロリー消費量や体重減というスコアを積み上げて競う事ができるという話です。そしてリワードはそのゲームの中だけに閉じることなく、メタゲームの攻略にも使えるわけで、なかなか面白いゲームです。なんかもう自分でも何書いているのかわけが分からなくなってきましたが、「岡田斗司夫の信者」ではなく「岡田斗司夫理論の信者」としては『レコーディングダイエット』の理論に殉じて実践し、間違ってたのは理論の提唱者であって、理論自体ではない事を証明せねばならないのです。いつまでもデブと思うなよ。

レコーディング・ダイエット決定版 (文春文庫)

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いつまでもデブと思うなよ・電子版プラス

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*1:著者の意向で引用はノーカットのみとの事なので引用しません。