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太陽がまぶしかったから

C'etait a cause du soleil.

予期的社会化としての力の抜けたオトナ #私を構成する9枚

サブカル サブカル-音楽

http://tokyotrend.photo/selecta9/2348

私を構成する9枚

 いまさらながらやってみた。

キリンジ『47'45』

兄弟ポップ・デュオ、キリンジのセカンド・アルバム。「牡牛座ラプソディ」「耳をうづめて」他を収録。 (C)RS

 甘くて甲高いボーカルと奇妙なな歌詞をまとめるサウンド。牡牛座ラプソディがラジオ日本の深夜放送『瞳と光央の爆発ラジオ』でヘビーローテーションされていて、睡眠学習のように刷り込まれていた。

くるり『TEAM ROCK』

21世紀はじめの日本を覆う異様な息苦しさと、どこにも出口が見えない圧迫感をまっすぐに見すえながらも、音楽の根源的なパワーによって「希望」のありかを示してみせた傑作のサード。テクノ~ハウスのダンスミュージックに接近する一方で、トラディショナルなロックンロールの魅力もきちんと提示し、自由な感性と音に対する研ぎ澄まされた感覚はひとつの高みに達している。「安心な僕らは旅に出ようぜ 思いきり泣いたり笑ったりしようぜ」というフレーズが泣ける<9>「ばらの花」ほか、くるりディスコグラフィの中でもずっと語られるであろう名曲が詰まっている。(森 朋之)

TEAM ROCK

TEAM ROCK

 未だに文化系ロックンロール=くるりという図式がある。失恋を抱えながら登った山で聴いた『ワンダーフォーゲル』の切なさ。ハローもグッバイもサンキューも言わなくなって、それぞれの道を歩いていくときが来る。きっと来る。

サカナクション『シンシロ』

「メンバー5人納得できたアルバムが出来ました!」山口一郎の自信に満ちた口ぶりがとても嬉しかった。そのアルバムとは、源流北海道に生息した魚サカナクション3rd ALBUM「シンシロ」だ。タイトル「シンシロ」は、昨年春に北海道から上京して、新たに制作手法を変えて臨んだというアルバム11曲を新しい白(=NEW WHITE)、真白=シンシロという意味で名づけたと本人から初めて聞いた。彼らのやりたいイデオロギーは、北海道でも東京でも基本的に変わっていないと感じる。ただ、東京という都会で彼らのポジションが広い視野の中でより明確になったことと、生み出すセンスのオリジナリティとテクニカルな選択肢が増えたことで急速に自分たちのやりたい音楽の世界が広がり、成長魚のように今の彼らが捉える新機軸を掴んだのだと感じる。

シンシロ(通常盤)

シンシロ(通常盤)

 『Ame(B)』『セントレイ』『ネイティブダンサー』などサカナクションとセットで思い出される曲が詰まっている。やりたいことと求められることが一致している蜜月関係。

メロン記念日『赤いフリージア』

どうしても松田聖子の名曲を思い出してしまうタイトルからもわかる通り、80年代アイドルっぽい空気がひしひしと伝わってくるポップ・チューン。「最近、ちょっとマンネリ気味。だけどあなたを信じてついていきたい!」的な歌詞もどこかノスタルジックなムードを漂わせているのだが、曲の途中にラップを加えるなど、しっかりと2003年のモードに対応させているところはさすがに「produced by つんく」。ホントにこの人、アイデアが豊富です。4人のメンバーが声を合わせるコーラス・ワークも、楽曲をキレイに彩っている。(森 朋之)

赤いフリージア

赤いフリージア

 モーニング娘。の妹分としてデビューしたのにいつの間にやらハロプロ最年長ユニット。モーニング娘。のメンバーからメロン姐さんと呼ばれたりしつつ、不思議な魅力とマイナー感をもったアイドル。コミック路線からのThis is アイドルへの転換曲。モーニング娘。のリーダーとなる道重さゆみの2002年加入オーディション課題曲であり卒業公演曲という歴史的意義もある。

ピラミッド『ピラミッド』

80年代に孤高のロック系クロスオーヴァー/フュージョン・ギタリストとして一躍ブレイクし、当時のギター・キッズ達のカリスマ的存在として人気を博し、その後アレンジャー、プロデューサーとしても数多くのヒット曲を手掛けており、特にTBSのTV番組『世界遺産』のテーマ曲ではコンポーザー、アレンジャーとしての才能を高く評価され、アルバム『「世界遺産」組曲』をリリースし現在も第一線で活躍する鳥山雄司。日本のフュージョン・バンド・ブームの火付け役であり、先駆けバンドであり、現在もNo.1の人気を誇るカシオペアの元ドラマーであり日本の最高峰ドラマーとして君臨している、神保彰。そしてカシオペアと人気を2分したフュージョン・グループ、スクエアのキーボード奏者として人気を博し、脱退後もアレンジャー、コンポーザーとして大活躍し、現在も日本でNo.1のキーボード奏者として君臨している和泉宏隆。この日本のフュージョン・シーンの礎を築き、牽引し、成熟させた張本人達と言える偉大なる3人が最強ユニットを結成!日本が誇る奇跡のスーパー・ユニット“PYRAMID”が遂にそのヴェールを脱ぐ!

ピラミッド

ピラミッド

 フュージョンの世界を開かせてくれた1枚。リラックスしながらウィスキーを傾けたくなる。

在日ファンク『爆弾こわい』

SAKEROCK での大活躍はモチロン、大ヒット映画「婚 前特急」やTV ドラマ「モテキ」などへの出演によって、 今最も世間を騒がせる「検索ワード急上昇」の男、ハマ ケンこと浜野謙太率いる在日ファンク!激待望&大充実 の全新曲による2nd アルバム登場!こわいこわい!こわ いよ!在日ファンク!いったいどこまで行っちゃうの!? だれか!お願いだからこの勢い止めてあげて!!

爆弾こわい

爆弾こわい

 日本に在りながらにしてファンクを体現する。日本人が真似をしても絶対に過剰化されたパロディになるのだけど、その過剰さにこそファンクが宿るという逆説。『爆弾こわい』の過剰さや『城』や『ピラミッド』のメロディアスな情念。

Gamma Ray『Blast from the Past』

Digitally Remastered. Special Digipak Best of Collection plus One Bonus Track. Includes a 28-page Color Booklet.

Blast from the Past

Blast from the Past

 ジャーマンメタルの草分け的存在であるHelloweenのボーカル、カイ・ハンセンが立ち上げたバンド。筋肉少女帯と特撮の関係に近い。ボーカルにラルフ・シーパースを迎えて作られた名曲をカイ・ハンセンのボーカルで再録。楽曲としての完成度は前者の方が上なのかもしれないけれど、自分の耳にはカイ・ハンセンの裏声が心地よい。『Heaven Can Wait』はまさに「私を構成する曲」だ。

ASIAN KUNG-FU GENERATION『マジックディスク』

全ての音楽ファンが夢見た魔法のディスク

先行シングル3枚を含むニューアルバム。ASIAN KUNG-FU GENERATIONならではのロックチューンから、ブラス、ストリングス、パーカッション、シンセなど様々な楽器をフィーチャーした楽曲まで、幅広い音楽性と「今」を問う確かなメッセージに溢れた、まさに全ての音楽ファンが夢見た魔法が詰まったディスクです。

マジックディスク

マジックディスク

 青春の終わりを歌い上げた『ソラニン』に加えて『さよならロストジェネレイション』や『新世紀のラブソング』など自身の半径5メートルを優先するモラトリアムから社会に踏み出しつつある壮年期を思わせる楽曲構成がアラサーと呼ばれるようになった自分に刺さった。

奥田民生『30』

奥田民生30歳が自らの音楽を総決算してカル~く作ったソロ・セカンド・アルバム。ユニコーン後期からの、いい意味で力の抜けたゆるい大人の男路線を確立している。「たばこのみ」「人の息子」「コーヒー」「トリコになりました」他、全12曲を収録。 (C)RS

30

30

  • アーティスト: 奥田民生,アンディ・スターマー,ボビー・ヘブ
  • 出版社/メーカー: ソニー・ミュージックレコーズ
  • 発売日: 1995/12/01
  • メディア: CD
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 奥田民生の30歳。釣り、股旅、タバコ、コーヒー、説教などのモチーフが並ぶ。実際に30を超えた今となっては半ば無理やりに「力の抜けたオトナ」を演じようとしていたこともわかる。もう30だから。コーヒーを飲んで一息つこう。休みが必要だ。そんな歌詞を紡ぎながら大人気なく作りこまれるサウンド。

 思えば、好きな音楽を挙げる時に無意識にされている行為も「力の抜けたオトナ」に対する予期的社会化のひとつなのかもしれない。こう見られたいと思う自分が筋肉少女帯も電気グルーヴも #私を構成する9枚 には選ばせないし、マニアックな洋楽やジャズは知識がないから選べない。日本に在りながらにしてファンクを体現するように、精神年齢だけがガキのままで力の抜けたオトナを体現しようとする。そこに善悪も正誤もなく、ありたい自分と現状の揺らぎだけがある。