太陽がまぶしかったから

C'etait a cause du soleil.

だだっぴろい風呂を銭湯にアウトソーシング

独り暮らしに戻った

 去年の今ぐらいから実家ぐらしをしながら貯金をしたり、家に他人がいる状態に慣れようとしていたのだけど、新しい仕事がそれなりにハードになりそうなので、職場の近くに住まう事にした。長時間の電車移動が心底嫌いだというのもある。

 ただ、もう広い部屋や物に溢れた暮らしは必要ないと思っていて、衣食住がそれなりにカバーできれば十分だと考えている。電子書籍やコワーキングスペースなどのインフラも充実して、部屋に常備しなくても問題がない物が増えたという現状もある。

まだガスが開栓されていないから銭湯に行く

 引っ越しの前日にガス開栓の連絡をしたのだけど、それでは間に合わないらしく、引っ越し当日には元栓が開けられない。風呂に入れないのも残念なので銭湯を探してみると、家のすぐ近くにある事が分かった。

 それなりに歴史がありそうな佇まいがありながら、リニューアルしたものと思えてモダンな部分と古めかしい部分が同居している。ひっきりなしに人が入っていて、地元の住人に人気であることが伺える。ジェットバスや水風呂なども小さいながらにそろっていて、大きな湯船に身体を伸ばすと気持ち良い。

 「引っ越し疲れ」というほどでもないが、寒くて重い荷物を持ちながら慣れない道を歩きまわるのは、それなりに負担になっていたのだろう。やや高い水温が自分の中に溜まっていた澱を排出していく様を想像する。

銭湯にアウトソーシングする効用

 入浴料は460円。小野美由紀の『傷口から人生。』にも都心の風呂なし格安アパートに住んで、毎日銭湯に通う生活が提案されている。

「風呂がない」というだけで人々の選択肢から除外されているだけで、その条件さえ気にしなければ、格安の優良物件が、ちまたには溢れているのだ。

友人たちに銭湯通いを始めた、と言うと、「大変だね」とか、「高くない?」といわれたけれど、月1万円かそこらで、だだっぴろい風呂(掃除つき、ガス・水道代含)をアウトソーシングしていると思えば、たいへんいごこちがよい。

 だだっぴろい風呂を銭湯にアウトソーシング。新しい部屋で風呂に入っても狭いユニットバスであるから、落ち着くものではないし、掃除も面倒だ。それよりなにより、「自分だけが快適に過ごせる独り暮らし」に慣れてしまうであろう僕にとって、一時的にでも生活空間を共にして裸で付き合う他者との接点が必要なのだとも思う。

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